抜け毛について HAIR LOSS
抜け毛にはいくつかの原因があります。
一つだけの場合もあれば、いくつかの原因が重なっている場合があります。
通常、1日60~100本が健康な状態での平均な抜け毛と言われています。
つまり健康的な人が1回シャンプーをするだけで、60本程度抜ける計算です。多くの場合は抜ける毛と生える毛のバランスが取れていますが、このバランスが崩れた状態が抜け毛状態となるわけです。
抜け毛を促す原因には、下記のようなものがあります。
①加齢 ②頭皮環境 ③ストレス ④紫外線
⑤睡眠・食事(生活習慣)⑥病気 ⑦遺伝
何らかの疾患にかかってしまった影響により抜け毛が増えてしまうこともありますが、多くの場合日々の生活習慣で抜け毛を減らす事は可能です。そのためにも、発毛のメカニズムを理解する必要があります。
発毛のメカニズム MECHANISM
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■ 成長期(2~6年)
毛髪全体の90%。古い毛髪は抜け落ち、新しい毛髪が生まれる時期。成長期に太くしっかりした毛(硬毛)となり、1ヶ月で約1cm伸びる。
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■ 退行期(2~3週間)
毛髪全体の1%。毛髪の成長が弱まる時期。
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■ 休止期(3ヶ月)
毛髪全体の10%。毛髪の成長が完全に休止する時期。
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発毛の周期
発毛には周期があります。太くしっかりとした硬い毛が生まれる成長期(2〜6年)、成長が終わり、徐々に細く短くなっている状態の退行期(2~3週間)、成長が止まり、毛が生えていない状態の休止期(3ヶ月)と言われています。
そのため、現在生えている毛髪は部位によりますが成長期・退行期の毛のみと言ってよいでしょう。成長期~退行期~休止期というサイクルが一生のうちに15~20回程度回ると言われます。私たちの髪の毛は、「生える」「伸びる」「抜け落ちる」そしてまた「生える」を繰り返しているのです。
毛周期には個人差があるほか、髪の毛の状態が成長期なのか、成長後期なのか、退行期なのか判断することが非常に難しく、また現在何回目の周期ということも知ることが出来ません。
毛周期により毛髪は常に一定量が生え変わるようになっています。毛が抜け落ちるのと同じ量だけ、別の毛孔から毛が生えてきて、毛量のバランスを保っているため皮膚表面には常に一定量の毛があるように見えるのです。
男性と女性の違い DIFFERENCE
男女ともに加齢により、毛周期サイクルは乱れてきます。それはホルモンの働きが落ちたり、栄養成分の不足、血流減少などがあげられます。
ホルモンの働きが落ちたり、栄養成分の不足、血流減少などがあげられます。特に男性ではテストステロン(男性ホルモン)が5αリダクターゼという酵素の働きにより、ジヒドロテストステロンという物質に変化します。この物質が増えることで毛周期サイクルが短くなるAGA(=Androgenetic Alopecia 男性型脱毛症)となり、生え際や頭頂部の毛髪が薄くなるという現象が見られるようになります。
遺伝的な要因と薄毛の特徴
AGAでは遺伝的な要因が強く、食事や生活習慣の見直しだけでは改善が困難だと言われています。早い段階で、少しでも改善できる手段を選ぶことが重要となっています。
薄毛の特徴として、ⅰ)髪の毛の生え際が後退する、ⅱ)頭頂部が薄くなる、ケースが見られます。薄毛の目安としてハミルトン・ノーウッド分類という指標が使われています。
女性の薄毛の特徴
一方女性も加齢によりホルモンバランスが乱れると、男性と同じようにAGAと同様成長期が短縮します。女性の場合休止期が延長することにより、薄毛の状態が続きます。女性の場合、男性と比べて血行不良になるケースが多く、毛髪に十分栄養が行きわたらず、健康で丈夫な髪が育たないケースもあります。
女性の薄毛の特徴として、ⅰ)ルードウィッグ型:女性に一番多く、頭頂部から後頭部にかけてびまん性に薄くなっていくタイプ、ⅱ)クリスマスツリー型:生え際から頭頂部がクリスマスツリーのように左右枝を広げた用に薄くなるタイプ、ⅲ)ハミルトン型:生え際から後退するタイプ、が見られます。
このように男性と女性では薄毛の原因が異なるだけでなく、薄毛の状態も異なっているため、それぞれに合わせたケアが望ましいと言えます。
毛髪について HAIR
毛髪の仕組みは以下のようになっています。
健康な髪の毛を作るには、栄養状態を良くしなければなりません。しかしながら、栄養状態が良くても、頭皮の状態が悪ければ健康な髪を維持することが出来ません。きれいな花を咲かせるには、栄養を与えるだけでなく、土壌もしっかりと改善していかないといけないのです。
頭皮とその周辺組織の構造
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■ 毛穴
表皮のくぼみで、ここから毛髪が生えます。
無数に存在し、成長しても数は増減しません。 -
■ 頭皮
頭部の皮膚の総称。「スカルプ(scalp)」。
身体の中で最も皮脂腺が発達していると言われており、皮脂を多く分泌しています。 -
■ 皮脂腺
主に皮脂を分泌し、皮膚や毛髪の表面の保護や保湿の働きをしています。
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■ 皮脂
頭皮を保湿し、感想や、最近による感染も防ぎます。
しかし皮脂は、過剰なシャンプー、食生活の乱れ、睡眠不足、ストレスなどにより分泌量に影響を及ぼします。
分泌量が多すぎたり少なすぎたりすると毛が抜けやすくなったり、強い臭いやフケが生じます。
発毛へのアプローチ APPROACH
発毛をしっかりと行うためには、前述のように栄養状態と頭皮状態の改善、さらにはストレスなど外的要因を出来るだけ取り除くことが重要になっています。
医学的アプローチ
現在薄毛、脱毛症の治療で以下の医薬品等が使用もしくは行われています。
■ 内服
- ・抗アレルギー薬
- ・セファランチン
- ・グリチルリチン、グリシン、DL−メチオニン配合剤(グリチロン配合錠®)
- ・ステロイド
- ・フィナステリド(プロペシア®)
- ・デュタステリド(ザガーロ®)
- ・ミノキシジル(日本未発売)
■ 外用
- ・ステロイド剤
- ・カルプロニウム塩化物水和物
- ・ミノキシジル
- ・t-フラバノン
- ・サイトプリン、ペンタデカン
- ・ケトコナゾール
■ その他
- ・植毛術
- ・LED、低出力レーザー照射術
- ・かつら
- ・成長因子導入、細胞移植療法
治療内容によっては医療保険が適用されるものと適用されないものがあります。
これらの治療は薄毛、脱毛の症状によって異なります。すべての薄毛の方にプロペシア®が有効なわけではありません。当然ですが、服用量、服用期間によっては副作用もしくは有害事象が見られることもあります。
また植毛術や細胞移植については保険適用外になるため、治療費が数十万から百万を超えるものまであります。治療前に十分説明を受け、同意の上で勧められることをおすすめします。
医薬部外品としてのアプローチ
医薬部外品としては、育毛剤(養毛剤)が分類されています。定義は「脱毛の防止及び育毛を目的とする外用剤である。」となっています。そのため、効能効果として「育毛、薄毛、かゆみ、脱毛の予防、毛生促進、発毛促進、ふけ、病後・産後の脱毛、養毛」を謳うことが出来ます。
医薬部外品で使用される成分は2700品目以上あります。許可されている成分が限られているので、各メーカーで差別化を行うのが難しいところでもあります。
化粧品としてのアプローチ
化粧品では育毛を謳うことは出来ません。しかし、毛髪にハリ、つやを与え、頭皮環境を改善することで、発毛しやすい環境を整えてあげることが出来ます。
化粧品に期待できるアプローチ方法としては、下記のような例が挙げられます。
- 頭皮、毛髪を清浄にする。
- 頭皮、毛髪をすこやかに保つ。
- 頭皮、毛髪にうるおいを与える。
- 毛髪をしなやかにする。
- 毛髪のつやを保つ。
- フケ、カユミがとれる。
- 毛髪の水分、油分を補い保つ。
- 髪型を整え、保持する。
- 汚れをおとすことにより皮膚を清浄にする。
- 肌を整える。
- 皮膚をすこやかに保つ。
- 肌をひきしめる。
- 皮膚の水分、油分を補い保つ。
- 皮膚を保護する。
- 肌を柔らげる。
- 肌にツヤを与える。
- 香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える。
- 毛髪にはり、こしを与える。
- 頭皮、毛髪のうるおいを保つ。
- クシどおりをよくする。
- 毛髪につやを与える。
- フケ、カユミを抑える。
- 裂毛、切毛、枝毛を防ぐ。
- 毛髪の帯電を防止する。
- 洗浄によりニキビ、アセモを防ぐ。
- 肌のキメを整える。
- 肌荒れを防ぐ。
- 皮膚にうるおいを与える。
- 皮膚の柔軟性を保つ。
- 皮膚の乾燥を防ぐ。
- 肌にはりを与える。
- 肌を滑らかにする。
サプリメントとしてのアプローチ
サプリメントは医薬品と異なり、直接的に薄毛を解消するわけではありません。私たちは食事から栄養を摂っていますが、栄養状態が悪化すると、毛髪の状態、頭皮の状態が悪化してくるため、抜け毛が増えたり、頭皮の肌荒れが起きてきます。
通常の治療、ヘアケアと複合的に行うことで、頭皮環境が整えられ、発毛に適した状態になることが期待されます。